オデッセウスの鎖

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オデッセウスの鎖

適応プログラムとしての感情
定価:
2,860
(本体:2,600円+税)

発行日:1995年1月1日

発行:サイエンス社

ISBN:978-4-7819-0752-9

サイズ:上製四六

ページ数:384ページ

在庫:品切れ

内容詳細

人間は,必ずしも常に合理的選択に従った行動をする訳ではなく,自己犠牲的行動をとることも珍しくない.本書では,このような人間行動の特性を解く有力な鍵として感情の役割を再評価し,感情があるからこそ人間社会がうまく成立する,という構造を解説する.感情の心理,利他行動,道徳性を考える上での必読書.

目次

1 自己利益を超えて
1-1 コミットメント問題
1-2 コミットメントとしての感情
1-3 行動傾向の手がかり
1-4 真似問題
1-5 簡単な思考実験
1-6 好みの重要性
1-7 正直さへの動機

2 利他主義のパラドクス
2-1 見えざる手
2-2 利己主義とダーウィン・モデル
2-3 血縁選択互恵的利他主義
2-4 応報戦略と囚人のジレンマ
2-5 媒介感情
2-6 集団選択
2-7 文化の圧力
3 道徳感情の理論
3-1 問題解決装置としての道徳的感情
3-2 コミットメント問題の例
3-3 誘因としての感情
3-4 誤魔化し問題の例
3-5 遺伝的な能力は必要か
3-6 共感の重要性
3-7 数の力の役割
3-8 合理的行動について
4 評判
4-1 「結果が悪いのは決定が悪かったからだ」という誤信
4-2 実行の問題
4-3 うわべだけ魅力的な報酬
4-4 自己コントロール装置としての感情
4-5 割引きと合理的選択
4-6 再び応報戦略について
4-7 なぜ極端に割り引くのか
4-8 身体的徴候のない道徳感情
4-9 道徳感情への2つの経路
4-10 文化の影響
4-11 文化の影響
4-12 2つの異なったコミットメント問題
4-13 相対的機会主義
5 シグナリング
5-1 敵とのコミュニケーション
5-2 「真似るのにコストが大きい」という原理
5-3 派生原理
5-4 完全暴露原理
5-5 道徳感情のシグナル
6 言葉隠して心隠さず
6-1 有効な連動習慣の原理
6-2 対照性原理
6-3 神経系直結行為の原理
6-4 表情\r
6-5 微細な表情\r
6-6 目
6-7 アラウザルのその他の徴候
6-8 声
6-9 ボディ・ランゲージ
6-10 自己欺瞞
7 協力行動を予測する
7-1 感情の手がかりの信頼性
7-2 実験による検証
7-3 中間結果
7-4 厳し過ぎる検証か?
7-5 もう一度思考実験について
8 道徳を身につける
8-1 厳密な行動主義への挑戦
8-2 発達と脳の特定の能力
8-3 情動能力と道徳行動
8-4 基準の役割
8-5 基準と感情
8-6 感情の役割に関する間接的な検証
8-7 衝動性と犯罪行為
9 公正感
9-1 公正感の定義
9-2 コミットメント・モデルと公正へのこだわり
9-3 最後通告交渉実験
9-4 市場における公正な価格
9-5 賃金と利益
9-6 公正感と地位
10 愛
10-1 関係市場
10-2 非合理な力としての愛
10-3 自己利益追求モデルの予測力
10-4 賃貸住宅市場における類似の問題
10-5 関係市場におけるコミットメント問題
10-6 コミットメント問題の解決策としての愛
10-7 愛と実行問題
10-8 交換志向と満足
10-9 空想研究からの証拠
10-10 モジュール脳解釈
11 人間の品位
11-1 正直さのフィールド実験
11-2 困っている人実験
11-3 再びキティ・ジェノヴィーズについて
11-4 援助要請への反応
11-5 ただ乗り問題
11-6 ただ乗りは経済学者の特性か
11-7 自己利益追求と投票行動
11-8 危険を伴う援助行動
11-9 利他的な性格特性
12 まとめ
12-1 手抜き
12-2 賃金と価格設定
12-3 外交関係
12-4 税制と規制
12-5 安定した環境の重要性
12-6 制度への対応行動
12-7 価値を教える
12-8 物質的利益は道徳の動機として適切なものだろうか?
12-9 自己利益追求モデルの好意的な修正

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