基本講義 債権各論II 不法行為法 第4版補訂版

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基本講義 債権各論II 不法行為法 第4版補訂版

定価:
2,805
(本体:2,550円+税)
難易度:入門

発行日:2025年3月10日

発行:新世社

ISBN:978-4-88384-405-0

サイズ:上製A5

ページ数:288ページ

在庫:在庫あり

内容詳細

斯学の基本書として圧倒的支持を得ている書を,京都大学 長野史寛教授が補訂.過失の前提としての結果回避可能性,2017年改正前の除斥期間の扱いに関する判例法理の変更など第4版刊行後に出された新判例を収載した.読みやすい2色刷.

目次

第1章 不法行為制度
  1.1 不法行為制度とは,どのような制度か?
  1.2 不法行為制度のもとでの救済 ― 損害賠償が原則
  1.3 損害賠償の基本原理 ― どのような場合に損害賠償が認められるのか?
  1.4 過失責任の原則が採用された理由 ― 過失責任を支える基本的考え方
  1.5 過失責任の原則の例外 ― 無過失責任
  1.6 無過失責任を支える基本的考え方
  1.7 過失責任の枠内での修正へのインセンティブ ― 過失の主張・立証責任
  1.8 「過失責任の原則」の修正
  1.9 次章以降の解説への架橋 ― 民法709条に基づく損害賠償請求
  本書を読み進めるにあたり,知っておいてほしい基礎知識

第2章 権利侵害
  2.1 条文の文言の確認
  2.2 「権利侵害」要件策定へのインセンティブ ― 不法行為責任成立場面の限定
  2.3 判例の転回 ― 「法律上保護される利益」への拡大(大学湯事件)
  2.4 権利侵害から違法性へ(その1) ― 違法性徴表説の登場
  2.5 権利侵害から違法性へ(その2) ― 相関関係論
  2.6 「違法性」評価基準の修正論 ― 受忍限度論
  2.7 「違法性」要件不要論 ― 「権利侵害」要件と「故意・過失」要件による処理
  2.8 「権利」論の再生 ― 「権利侵害」要件の再評価
  2.9 再び平成16年改正後の条文文言へ

第3章 故意・過失
  3.1 過失責任の原則 ― ここまで学んだことの再確認を兼ねて
  3.2 故意の意義
  3.3 過失の意義
  3.4 過失評価の対象
  3.5 過失の判断基準(その1) ― 誰の能力を基準とするか?
  3.6 過失の判断基準(その2) ― いつの時点での能力を基準とするか?
  3.7 過失の判断基準(その3) ― 過失判断の前提としての具体的危険・予見可能性
  3.8 過失の判断基準(その4) ― 行為義務違反の判断因子
  3.9 過失の主張・立証責任 ― 規範的要件としての「過失」
  3.10 失火責任法の特別規定

第4章 因果関係
  4.1 「何」と「何」との因果関係?
  4.2 責任設定の因果関係の判断構造
  4.3 因果関係判断の基礎 ― 条件関係(事実的因果関係)
  4.4 不可欠条件公式による条件関係の判断の限界
  4.5 因果関係の判断基準時
  4.6 因果関係の主張・立証責任 ― 被害者側
  4.7 因果関係の証明度 ― 「高度の蓋然性」
  4.8 因果関係の立証の緩和
  4.9 「相当因果関係」の理論について

第5章 損害
  5.1 損害とは ― 差額説
  5.2 金額差額説 ― 個別客体差額説と総体財産差額説
  5.3 差額説の限界
  5.4 個別損害項目積上げ方式による差額計算
  5.5 具体的損害計算の原則と抽象的損害計算
  5.6 人損における逸失利益算定 ― 具体的損害計算の修正
  5.7 物損の場合
  5.8 損害の主張・立証責任
  5.9 慰謝料の算定 ― 慰謝料の果たす機能
  5.10 損害賠償請求の方法
  5.11 賠償されるべき損害の確定 ― 加害行為(・権利侵害)と損害との相当因果関係,さらに民法416条の類推適用論
  5.12 弁護士費用の賠償
  5.13 遅延損害金(遅延利息)
  補論 ― 相当因果関係についての筆者の考え方

第6章 損害賠償請求権の主体
  6.1 前章までのパターンとの違い
  6.2 生命侵害と損害賠償請求権の相続問題(その1) ― 問題の所在
  6.3 生命侵害と損害賠償請求権の相続問題(その2) ― 財産的損害賠償請求権の相続可能性
  6.4 生命侵害と損害賠償請求権の相続問題(その3) ― 慰謝料請求権の相続可能性
  6.5 間接被害者の損害賠償請求(その1) ― 問題の所在
  6.6 間接被害者の損害賠償請求(その2) ― 肩代わり損害の場合
  6.7 間接被害者の損害賠償請求(その3) ― 定型的付随損害の場合
  6.8 間接被害者の損害賠償請求(その4) ― 企業損害の場合
  6.9 胎児の損害賠償請求権

第7章 損害賠償請求に対する抗弁(1)
  7.1 責任無能力の抗弁
  7.2 責任能力の意義
  7.3 誰が責任無能力者か?
  7.4 責任無能力者の監督義務者の責任
  7.5 行為者に責任能力がある場合の保護者の損害賠償責任
  7.6 その他の抗弁 ― 「違法性阻却事由」(正当化事由)と言われているもの

第8章 損害賠償請求に対する抗弁(2)
  8.1 承前
  8.2 抗弁(その1) ― 過失の評価障害事実
  8.3 抗弁(その2) ― 過失相殺
  8.4 抗弁(その3) ― 被害者側の過失
  8.5 抗弁(その4) ― 被害者の素因
  8.6 抗弁(その5) ― 損益相殺
  8.7 抗弁(その6) ― 損益相殺的な調整
  8.8 抗弁(その7) ― 消滅時効
  8.9 抗弁(その8) ― 損害賠償債権を受働債権とする相殺の可否

第9章 使用者の責任・注文者の責任
  9.1 使用者責任の意味
  9.2 使用者責任の要件事実 ― 概観
  9.3 使用関係
  9.4 事業執行性
  9.5 民法715条1項ただし書の免責立証
  9.6 使用者が賠償した場合の,被用者に対する求償権
  9.7 被用者が賠償した場合の,使用者に対する逆求償
  9.8 代理監督者の責任
  9.9 民法709条に基づく被用者の損害賠償責任
  9.10 民法709条に基づく法人自身の不法行為責任(法人過失論)
  9.11 使用者責任に類似する制度(その1) ― 国家賠償法1条に基づく国・公共団体の損害賠償責任
  9.12 使用者責任に類似する制度(その2) ― 代表者の不法行為を理由とする法人の損害賠償責任
  9.13 使用者責任に類似する制度(その3) ― 注文者の責任

第10章 物による権利侵害 ― 工作物責任・営造物責任・製造物責任・動物占有者の責任
  10.1 物による権利侵害と損害賠償責任
  10.2 工作物責任の概要
  10.3 工作物の意味
  10.4 設置・保存の瑕疵
  10.5 因果関係
  10.6 占有者の免責立証
  10.7 所有者の無過失責任
  10.8 被害者に賠償した占有者・所有者の求償権
  10.9 工作物責任と類似する制度 ― 営造物責任
  10.10 製造物責任
  10.11 動物占有者の損害賠償責任

第11章 共同不法行為・競合的不法行為
  11.1 競合的不法行為と共同不法行為
  11.2 競合的不法行為(不法行為責任の競合)
  11.3 共同不法行為の基本的な仕組み(その1) ― 伝統的考え方による場合
  11.4 共同不法行為の基本的な仕組み(その2) ― 最近の考え方による場合
  11.5 関連共同性の意味
  11.6 共同不法行為の効果
  11.7 重合的競合(累積的競合)と寄与度についての主張・立証責任の転換
  11.8 共同不法行為者間の求償権
  11.9 共同行為者の1人について生じた事由の影響

第12章 差止請求と損害賠償
  12.1 差止請求を認めることの必要性
  12.2 生活妨害の差止めとその法的根拠
  12.3 差止請求と受忍限度
  12.4 請求の特定性
  12.5 差止めと損害賠償 ― 「将来の損害」の賠償可能性
  12.6 関連問題:将来損害項目と事情変更

第13章 名誉毀損および人格権・プライバシー侵害
  13.1 名誉毀損と人格権・プライバシー侵害
  13.2 名誉と名誉毀損の意義
  13.3 名誉毀損の免責法理 ― 真実性の抗弁と相当性の抗弁
  13.4 意見・論評による名誉毀損
  13.5 人格権・プライバシーの権利の意味 ― 総論
  13.6 平穏生活権としてのプライバシーの権利
  13.7 自己情報コントロール権としてのプライバシーの権利
  13.8 自己決定権としての人格権
  13.9 名誉毀損,人格権・プライバシー侵害の効果(その1) ― 損害賠償
  13.10 名誉毀損,人格権・プライバシー侵害の効果(その2) ― 差止請求
  13.11 名誉毀損,人格権・プライバシー侵害の効果(その3) ― 原状回復
  13.12 パブリシティの権利

第14章 医療過誤・説明義務違反
  14.1 医療過誤損害賠償請求事件における訴訟物
  14.2 患者の権利・利益 ― 「権利侵害」要件
  14.3 因果関係
  14.4 診療上の過失 ― 医療水準論
  14.5 説明義務 ― 診療行為に対する患者の同意(承諾)
  14.6 診療行為と家族の同意(承諾)
  14.7 転送義務・転送指示義務

第15章 自動車損害賠償保障法上の運行供用者責任
  15.1 自動車事故と不法行為責任
  15.2 運行供用者責任の追及 ― 自賠法3条本文
  15.3 運行供用者責任の免責事由 ― 免責3要件ほか
  15.4 運行供用者の意義
  15.5 運行の意義

事項索引
判例索引

サポート情報

正誤表

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