微分方程式の数値解析とデータサイエンス

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近年,特に大学理工系の大学院の充実はめざましいものがあります.しかしながら学部上級課程や大学院課程の学術的なテキスト・参考書はきわめて少ないのが現状です.
本ライブラリは,これらの状況を踏まえて,数理科学諸分野および関連する領域から現代的なテーマやトピックスを順次とりあげ,時代の要請に応える魅力的なライブラリを構築しようとするものです.

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微分方程式の数値解析とデータサイエンス

定価:
2,530
(本体:2,300円+税)
難易度:中級

発行日:2025年4月25日

発行:サイエンス社

ISBN:978-4-7819-1632-3

サイズ:並製B5

ページ数:176ページ

在庫:在庫あり

内容詳細

近年,デジタル画像の処理や,物理現象の観測データからその現象を記述する微分方程式のパラメータを推定する問題など,データサイエンス領域で微分方程式が積極的に活用されている.本書では,データサイエンスへの応用や関連を意識した,常微分方程式の初期値問題と,Runge–Kutta法などに代表される一段法に焦点を当てて微分方程式の数値解析の入門的解説を行う.

目次

第1章 微分方程式およびその数値解法とデータサイエンス
  1.1 微分方程式とデータサイエンス
  1.2 本書で扱う微分方程式の数値計算
  1.3 本書の構成

第2章 常微分方程式とその数値解法
  2.1 常微分方程式の初期値問題
  2.2 Runge-Kutta法
  2.3 構造保存数値解法
  2.4 ハミルトン系と勾配系に対する構造保存解法
  2.5 合成解法
  2.6 分解解法
  2.7 Stiefel多様体上の微分方程式に対する数値解法

第3章 随伴法
  3.1 問題設定
  3.2 随伴法
  3.3 シンプレクティック随伴法
  3.4 2次の随伴法とその離散版
  3.5 数値実験

第4章 動的低ランク近似
  4.1 行列の低ランク近似
  4.2 本章で用いる記号の定義
  4.3 動的低ランク近似
  4.4 動的低ランク近似のY(t)の表現
  4.5 動的低ランク近似の微分方程式表現の離散化
  4.6 数値実験
  4.7 離散化のロバスト性
  4.8 関連する話題

第5章 最適化
  5.1 最適化手法と常微分方程式
  5.2 代表的な常微分方程式1:最急降下ODE
  5.3 最急降下ODEの収束レート
  5.4 最急降下法の収束レート
  5.5 安定性の高い陽的解法による最適化手法
  5.6 代表的な常微分方程式2:Nesterov ODE
  5.7 Nesterov ODEの収束レート
  5.8 加速勾配法の線形多段階法としての解釈
  5.9 種々の数値解法の適用例

第6章 モデル縮減
  6.1 モデル縮減の基本的な考え方
  6.2 Galerkin射影
  6.3 POD(固有直交分解)
  6.4 誤差評価
  6.5 演算量
  6.6 離散型経験的補間法:DEIM
  6.7 KdV方程式を通した縮減モデルの理解
  6.8 構造保存モデル縮減

第7章 微分方程式の数値計算の不確実性定量化
  7.1 微分方程式のパラメータや初期値の推定
  7.2 微分方程式の数値計算の誤差が推定に与える影響
  7.3 微分方程式の数値計算の誤差の定量的評価手法の概略
  7.4 非確率的手法:単調回帰

参考文献
索引

サポート情報

次号の予告

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行列解析とその応用

関数解析の考え方と行列の様々な不等式
行列における関数解析,または,関数解析的方法による行列論と呼ぶことができる行列解析.近年研究が盛んである量子情報分野では,その方法と知識が必須のものとなっている.本書では,行列に関する不等式または不等式的な関係を中心に行列解析の解説を行う.「行列解析から学ぶ量子情報の数理」(SGCライブラリ183,2023年刊行)の姉妹書.

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