量子多体物理と人工ニューラルネットワーク

SGCライブラリ

近年,特に大学理工系の大学院の充実はめざましいものがあります.しかしながら学部上級課程や大学院課程の学術的なテキスト・参考書はきわめて少ないのが現状です.
本ライブラリは,これらの状況を踏まえて,数理科学諸分野および関連する領域から現代的なテーマやトピックスを順次とりあげ,時代の要請に応える魅力的なライブラリを構築しようとするものです.

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量子多体物理と人工ニューラルネットワーク

定価:
2,310
(本体:2,100円+税)
難易度:上級

発行日:2024年6月25日

発行:サイエンス社

ISBN:978-4-7819-1605-7

サイズ:並製B5

ページ数:136ページ

在庫:在庫あり

内容詳細

近年,データ科学が実験科学,理論科学,計算(シミュレーション)科学に続く第4の科学と言われるようになってきた.物理の分野においても,様々な文脈で機械学習の応用が進んでいる.本書では,量子多体系の解析,という観点に絞って,その基礎的内容から最新の研究の進展までを紹介する.

目次

第1章 <物理|機械学習>
  1.1 機械学習とは?
  1.2 物理における機械学習(I):物理状態の分類・相転移検出
  1.3 物理における機械学習(II):物理状態・物理モデルの表現
  1.4 物理における機械学習(III):その他の例

第2章 量子多体系・量子多体波動関数
  2.1 量子多体系とは
  2.2 量子多体波動関数
  2.3 量子多体波動関数に対する数値手法

第3章 人工ニューラルネットワーク
  3.1 オーバービュー
  3.2 識別モデル(とその動作原理)
  3.3 生成モデル(とその動作原理)
  3.4 学習方法の比較
  3.5 人工ニューラルネットワークの表現能力

第4章 人工ニューラルネットワークを用いた量子状態表現
  4.1 人工ニューラルネットワーク波動関数
  4.2 テンソルネットワーク
  4.3 人工ニューラルネットワーク波動関数の基本性質とテンソルネットワークとの比較
  4.4 人工ニューラルネットワーク波動関数の適用例

第5章 人工ニューラルネットワークを用いた変分法
  5.1 変分法とは
  5.2 人工ニューラルネットワークを用いた変分アルゴリズム
  5.3 量子スピン系を用いたデモンストレーション
  5.4 量子スピン模型に対するカルレオ-トロイヤーの数値結果
  5.5 適用の“本丸”
  5.6 一般の量子多体ハミルトニアンへの適用

第6章 量子状態トモグラフィー
  6.1 量子状態トモグラフィーとは
  6.2 量子状態トモグラフィーの原理

第7章 基底状態計算に関する進展
  7.1 変分法
  7.2 基底状態を表す深層ボルツマンマシンの解析的な構築

第8章 発展的課題:励起状態・ダイナミクス・開放量子系・有限温度
  8.1 励起状態
  8.2 実時間ダイナミクス
  8.3 開放量子系
  8.4 有限温度

第9章 これからに向けて
  9.1 機械学習手法の課題と将来の方向性
  9.2 終わりに

参考文献
索引

サポート情報

次号の予告

書影

組合せ最適化への招待

モデルとアルゴリズム
組合せ最適化は,ルート探索やスケジューリングなど実社会に現れる課題を解決するために有用であるが,そこでは適切な定式化(モデリング)と効率的な計算方法(アルゴリズム)の設計が求められる.本書では,組合せ最適化の理論的な基礎に焦点を当て,特に,組合せ最適化問題の解きやすさ・解きにくさの背後にある理論的な性質を知ることを目指した.