量子電磁力学への招待

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近年,特に大学理工系の大学院の充実はめざましいものがあります.しかしながら学部上級課程や大学院課程の学術的なテキスト・参考書はきわめて少ないのが現状です.
本ライブラリは,これらの状況を踏まえて,数理科学諸分野および関連する領域から現代的なテーマやトピックスを順次とりあげ,時代の要請に応える魅力的なライブラリを構築しようとするものです.

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量子電磁力学への招待

場の解析力学と場の量子論
定価:
2,640
(本体:2,400円+税)
難易度:中級

発行日:2025年3月25日

発行:サイエンス社

ISBN:978-4-7819-1630-9

サイズ:並製B5

ページ数:216ページ

在庫:在庫あり

内容詳細

量子電磁力学は,電荷を帯びた対象の間で働くあらゆる電磁相互作用は電荷間での光子の交換により生じている,という微視的理解を与える.本書では,実スカラー場の系を題材として,場の解析力学と量子論の基礎から,数値的手法を含めた,量子電磁力学の高次摂動計算まで解説する.

目次

第1章 はじめに:解析力学の恩恵
  1.1 作用と対称性
  1.2 ラグランジアンと作用
  1.3 場の解析力学とは何であろうか?

第2章 ローレンツ対称性と場
  2.1 ミンコフスキー空間とローレンツ対称性
  2.2 特殊相対論を尊重するとは?
  2.3 リー代数とその表現
  2.4 ローレンツ代数
  2.5 ローレンツ群の既約表現
  2.6 ローレンツ群の被覆群
  2.7 場と素粒子模型

第3章 場の解析力学と量子化
  3.1 場の解析力学
  3.2 D次元時空上の実スカラー場の正準量子化
  3.3 なぜ場の量子論は必要なのか
  3.4 自由な実スカラー場の量子化

第4章 電磁場の古典論
  4.1 マクスウェル方程式に関する再考
  4.2 マクスウェル方程式の相対論的記述
  4.3 自由な電磁場の解析力学

第5章 場の量子論における摂動計算
  5.1 ウィックの縮約
  5.2 ファインマン図の連結性,1粒子既約性
  5.3 相殺項
  5.4 摂動論の連続極限

第6章 繰り込み
  6.1 次元正則化
  6.2 繰り込み条件
  6.3 部分ファインマン図からの発散と相殺項

第7章 フェルミオン場の量子論
  7.1 グラスマン代数とコヒーレント状態
  7.2 フェルミ統計に従う変数の経路積分
  7.3 運動量空間におけるディラック方程式の解
  7.4 g因子

第8章 QED摂動論の準備
  8.1 電磁場の繰り込みとウォード-高橋恒等式
  8.2 ディラック場を含む1PI関数の繰り込み
  8.3 QEDの相殺項のまとめ
  8.4 ZΨ=Zeと電荷素量の普遍性
  8.5 クェンチQEDのパウリ-ヴィラス正則化 

第9章 パラメトリック積分表示
  9.1 グラフ
  9.2 連結性と連結成分
  9.3 道とループ
  9.4 森と木
  9.5 様々な結果
  9.6 基本ループ集合
  9.7 接続行列,ループ行列
  9.8 ファインマン積分の構成要素
  9.9 ファインマン積分への応用
  9.10 演算子Fg(D)について
  9.11 カットセット
  9.12 鎖トポロジー
  9.13 ウォード-高橋恒等式による異常磁気能率の足し上げ

第10章 数値計算における紫外発散の除去
  10.1 K演算
  10.2 K演算による因数分解
  10.3 自己エネルギー部分図のK演算
  10.4 K演算による入れ子状の紫外発散の除去

第11章 異常磁気能率における赤外発散の除去
  11.1 赤外発散の除去の必要性
  11.2 R演算
  11.3 I演算
  11.4 入れ子になった赤外発散の除去
  11.5 木グラフによる赤外発散除去項の視覚化
  11.6 赤外発散を除去するパラメトリック積分表示の構築
  11.7 有限繰り込み

付録A 異常磁気能率への射影演算子
  A.1 射影演算子の構成

付録B 1ループでの繰り込み定数
  B.1 W2
  B.2 Z2
  B.3 L2

参考文献
索引

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