量子力学の解釈問題

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量子力学の解釈問題

多世界解釈を中心として
定価:
2,530
(本体:2,300円+税)
難易度:中級

発行日:2020年8月25日

発行:サイエンス社

ISBN:978-4-7819-1484-8

サイズ:並製B5

ページ数:200ページ

在庫:品切れ

内容詳細

量子力学が登場してから一世紀を経て,その有用性は万人の認めるところとなって久しいが,その意味,解釈については未だにコンセンサスができていない.量子力学の多くの教科書では,具体的な問題を解く上でこれらは考える必要のない問題として扱われていることも多い.本書では量子力学の解釈問題について著者の支持する「多世界解釈」という流派に属する考え方を中心に解説する.

目次

第0章 本書の立場
  0.1 本書の主な主張
  0.2 量子力学の公理系

第1章 解釈問題序論
  1.1 ニュートンの運動方程式の「解釈」
  1.2 観測されていないときの波動関数とは?
  1.3 存在確率ではないこと―2スリット実験から
  1.4 コペンハーゲン解釈/標準解釈
  1.5 実証主義と実在主義
  1.6 実在主義的見方その1:隠れた変数の理論
  1.7 実在主義的見方その2:共存から多世界解釈へ
  1.8 経路積分・共存度
  1.9 密度行列(密度演算子)
  1.10 物理量と演算子
  1.11 確率論か決定論か:不確定性関係

第2章 共存―1粒子の場合
  2.1 偏光状態の共存
  2.2 偏光板付き2スリット実験:量子消去と遅延選択
  2.3 マッハ-ツェンダー干渉計と遅延選択
  2.4 無相互作用測定
  2.5 ゼノン効果付き無相互作用測定

第3章 エンタングルメント
  3.1 共存とエンタングルメント
  3.2 EPRパラドックスと局所実在論
  3.3 ボーアの視点とアインシュタインの視点
  3.4 隠れた変数の理論
  3.5 2粒子の場合―ベルの不等式
  3.6 実験による検証…第1世代
  3.7 実験による検証…第2世代以降

第4章 2粒子状態の共存
  4.1 HOM干渉計とKSC実験(2光子干渉・量子消去)
  4.2 ZWM実験(MZ干渉計・下方変換)
  4.3 KYKS実験(遅延選択・量子消去)
  4.4 ウォルボーンの実験(2スリット干渉・経路情報・遅延選択)

第5章 GHZ状態と状況依存性
  5.1 GHZ状態
  5.2 GHZ状態の実験による生成
  5.3 バイドマンのGHZゲーム
  5.4 ハーディ-ヨルダンの2光子状態
  5.5 マーミンの魔方陣と状況依存性

第6章 ハーディのパラドックスと弱値
  6.1 ハーディのパラドックス
  6.2 負の「確率」と弱値
  6.3 弱値と弱測定
  6.4 三つ箱のパラドックス
  6.5 2スリット干渉実験での弱値

第7章 確率とボルンの規則
  7.1 統計的確率(頻度主義)と主観確率(ベイズ主義)
  7.2 標準/コペンハーゲン解釈でのボルンの規則の意味
  7.3 相対頻度の直接的導出の手順
  7.4 相対頻度の導出(2モードの場合)
  7.5 相対頻度の導出(多モードの場合)
  7.6 有限粒子系の無限のセット
  7.7 期待値の意味
  7.8 無限自由度の問題
  7.9 なぜ二乗か?
  7.10 その他のアプローチ/頻度演算子

第8章 デコヒーレンス
  8.1 2スリット実験と経路の観測
  8.2 デコヒーレンスの散乱モデル
  8.3 C70分子による干渉実験
  8.4 デコヒーレンスと環境
  8.5 基底の問題
  8.6 一意的な結果の認識
  8.7 密度行列
  8.8 振動子モデル/カルデイラ-レゲット・モデル
  8.9 古典軌道の出現
  8.10 ゼノン効果と状態の凍結

第9章 量子ベイズ主義(現代的コペンハーゲン解釈)と多世界解釈
  9.1 Qビズムとは
  9.2 Qビズムでの状態の収縮
  9.3 Qビズムと奇妙な遠隔作用
  9.4 Qビズムと多世界解釈

補遺A 多世界解釈への批判
  A.1 主な論点
  A.2 ワインバーグ
  A.3 イエーガー
  A.4 ケント

参考文献
索引

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