物性物理とトポロジー

SGCライブラリ  184

物性物理とトポロジー

非可換幾何学の視点から
定価:
2,750
(本体:2,500円+税)
難易度:上級

発行日:2023年4月25日

発行:サイエンス社

ISBN:978-4-7819-1571-5

サイズ:並製B5

ページ数:224ページ

在庫:在庫あり

内容詳細

本書は,物性物理学における物質のトポロジカル相(topological phase)の理論の一部について,特に数学的な立場からまとめたものである.とりわけ,トポロジカル相の分類,バルク・境界対応の数学的証明,の2つを軸として,分野の全体像をなるべく俯瞰することを目指した.

目次

第1章 導入
  1.1 連成ばねの力学
  1.2 整数量子ホール効果
  1.3 対称性に守られたトポロジカル相

第2章 関数解析からの準備
  2.1 ヒルベルト空間と有界線形作用素
  2.2 C*-環
  2.3 本書に登場するC*-環の例
  2.4 可換C*-環

第3章 フレドホルム作用素の指数理論
  3.1 フレドホルム作用素
  3.2 フレドホルム指数
  3.3 自己共役フレドホルム作用素のスペクトル流
  3.4 テープリッツ作用素
  3.5 実ヒルベルト空間上のフレドホルム作用素

第4章 作用素環のK理論
  4.1 C*-環のK0
  4.2 C*-環のK1
  4.3 6項完全列
  4.4 位相的K理論
  4.5 同変K理論
  4.6 Z2-次数つきC*-環のK群
  4.7 フレドホルム加群と指数ペアリング

第5章 複素トポロジカル絶縁体
  5.1 バルク系のトポロジカルな分類
  5.2 境界状態のトポロジカル指数
  5.3 アティヤ-シンガーの指数定理
  5.4 バルク・境界対応
  5.5 整数量子ホール効果
  5.6 一様磁場と非可換トーラス
  5.7 ラフリンの思考実験

第6章 ランダム作用素の非可換幾何学
  6.1 ランダムな観測量の代数: 周期的な物質の場合
  6.2 ランダムな観測量の代数: 非周期的な場合
  6.3 巡回コホモロジー理論
  6.4 非可換チャーン指標
  6.5 バルク・境界対応

第7章 粗幾何学とトポロジカル相
  7.1 ロー環と一様ロー環
  7.2 ユークリッド空間の粗C*-環の非可換幾何
  7.3 非周期的ハミルトニアンのバルク・境界対応
  7.4 螺旋転位とバルク・欠陥対応

第8章 トポロジカル絶縁体と実K理論
  8.1 AII型トポロジカル絶縁体
  8.2 キタエフの周期表
  8.3 実C*-環
  8.4 実C*-環のKR0
  8.5 KRj群とAZ対称性
  8.6 非周期的なトポロジカル絶縁体

第9章 スペクトル局在子
  9.1 複素スペクトル局在子
  9.2 実指数ペアリングの斜交スペクトル局在子

第10章 捩れ同変K理論
  10.1 量子力学の対称性: ウィグナーの定理
  10.2 フリード-ムーアの捩れ
  10.3 フリード-ムーア捩れ同変K理論
  10.4 捩れ対称性に守られたトポロジカル相の分類
  10.5 AZ対称性再訪
  10.6 鏡映対称性に守られたトポロジカル相

第11章 トポロジカル結晶絶縁体
  11.1 結晶対称性とその一般化
  11.2 結晶対称性に守られたトポロジカル相
  11.3 捩れ結晶T双対
  11.4 アティヤ-ヒルツェブルフのスペクトル系列
  11.5 トポロジカル絶縁体の誘導とアトミック絶縁体

第12章 関連する話題
  12.1 アンダーソン絶縁体のトポロジカル相
  12.2 ギャップラベリング予想
  12.3 連続系のバンド理論
  12.4 高次トポロジカル相
  12.5 ワイル半金属
  12.6 非エルミート系
  12.7 多体系としての自由フェルミオン
  12.8 分数量子ホール効果

付録A 補遺
  A.1 関数解析とC*-環論の補足
  A.2 カスパロフ理論
  A.3 留数コサイクルと局所指数定理

参考文献
索引

サポート情報

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