基本講義 商法総則・商行為法

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ライブラリ 法学基本講義  9

基本講義 商法総則・商行為法

定価:
2,090
(本体:1,900円+税)

発行日:2001年7月25日

発行:新世社

ISBN:978-4-88384-032-8

サイズ:上製A5

ページ数:192ページ

在庫:品切れ

内容詳細

企業法という視点から商法総則・商行為法を読み直し,初学者にとって身近に引き寄せて問題を考えることができるよう配慮された新しいスタイルのテキスト.関連特別法の成立も踏まえ,最新の内容でまとめる.

目次

第1章 企業について
1.1 経済活動の担い手としての企業
1.2 営利企業について
1.3 非営利の企業
1.4 「商法」その他の企業法の体系
1.5 商人および商行為の概念
1.6 商法の適用の限界

第2章 企業のブランド
2.1 商号について
2.2 登記商号の保護
2.3 名板貸責任

第3章 商業登記制度
3.1 商業登記制度の概要
3.2 商業登記の効力

第4章 企業の人的組織
4.1 商業使用人について
4.2 商業使用人の営業主に対する義務
4.3 代理商

第5章 営業
5.1 営業について
5.2 営業の譲渡
5.3 営業譲渡の当事者の法律関係
5.4 営業譲渡と債権者・債務者の保護

第6章 企業の会計
6.1 企業会計法の意義
6.2 商業帳簿の内容
6.3 資産の評価
6.4 商業帳簿の保存と提出

第7章 企業取引
7.1 契約の成立から消滅まで
7.2 契約を規制する法律
7.3 企業取引の特色
7.4 商事売買
7.5 国債売買

第8章 消費者との契約
8.1 消費者と企業との取引
8.2 消費者信用取引
8.3 特定商取引の規制
8.4 ネズミ講とマルチ販売

第9章 契約の仲介者
9.1 仲立人の定義と例
9.2 問屋の定義と例
9.3 なぜ仲介者を利用するか
9.4 仲立人の義務
9.5 仲立人の報酬請求権
9.6 問屋と委託者の法律関係

第10章 有価証券について
10.1 有価証券の意義と機能\r
10.2 要式証券性・文言性
10.3 有価証券的譲渡の意義
10.4 有価証券の譲渡方法
10.5 有価証券の行使
10.6 善意取得
10.7 除権判決

第11章 運送および寄託業務
11.1 運送および寄託業務の意義
11.2 運送契約の概観
11.3 運送証券および倉庫証券
11.4 運送人・倉庫業者の責任

第12章 金融取引
12.1 金融制度について
12.2 金融制度改革:金融ビッグバン
12.3 銀行の業務
12.4 証券取引
12.5 保険契約
12.6 金融取引と消費者の保護

文献案内
事項索引
判例索引


サポート情報

その他

補遺


ライブラリ法学基本講義 9
「基本講義 商法総則・商行為法」 サポートページ



片木晴彦著  「基本講義 商法総則・商行為法」  補遺(2003年 1月)


■2.1.2 商号とは何か
 平成14年(2002年)の商業登記規則の改正で,商号の登記について,ローマ字その他の符号を用いることができるようになった。


■6.1.2 企業会計法の体系
 平成14年4月に,商法施行規則が成立している。同規則は,従来の計算書類規則,大会社の株主総会の招集通知に添付すべき参考書類等に関する規則(参考書類規則),大会社の監査報告書に関する規則などをまとめたもので,会社の計算に関する規定は同規則の第4章および第5章以下に定められている。
 平成14年には,商法の計算に関する規定が大幅に改正され,株式会社の貸借対照表に計上すべき項目(平成14年改正前商286条~287条ノ2・291条4項)および資産の評価に関する規定(同285条ノ2~285条ノ7)が削除され,これらの事項を法務省令(商法施行規則)に委ねることとした(平成14年改正商281条5項・285条)。国際会計基準を中心とする国際的な会計基準の統一の動きが急速に進展しているなかで,わが国の会計基準の整備が法の改正を待たなければならないとすると,大きく後れをとるおそれがあるためである。
同様に,配当規制上純資産から控除すべき項目についても,資本の額,資本準備金および利益準備金以外については,法務省令(商法施行規則第6章)に委ねている(同商290条1項4号・293条ノ5第1項4号)。また,平成14年改正では,大会社に連結計算書類の作成が義務づけられた(平成14年改正商特19条の2第1項・同21条の32条第1項。ただし,改正附則9条により,当分の間,連結計算書類の提出が義務づけられる会社は,証券取引法の規定により有価証券報告書の提出を義務づけられている会社に限られる)。

■6.1.3 公正なる会計慣行
 従来わが国の会計基準の設定を担ってきた企業会計審議会は,金融庁のもとに設置された,いわゆるパブリック・セクターとしての会計基準設定機関である。しかし,世界的な趨勢としては,会計基準設定主体は,財政的には資本市場の参加者を中心とする広範な層から安定的な資金の提供を受け,その上で高度の独立性と専門性を有する者によって構成された組織が会計基準を設定することが望ましいとされている。わが国でも平成13年(2001年)7月に財務会計基準機構が設立され,その下にプライベートセクターの会計基準設定機関である財務会計基準委員会が設立され,会計基準設定の役割を企業会計審議会に代わって担いつつある。

■6.2.3 貸借対照表
 平成13年商法改正は,利益準備金の積立義務を緩和するとともに(平成13年改正商288 条),資本の額の4分の1を残して法定準備金を取り崩すことを認めた(同商289条2項)。取り崩された法定準備金は株主に配当することができる。この結果,株主の出資は,株主に配当できない資本(資本金)および資本準備金と,配当の原資となる資本準備金減少差益に分かれる。商法施行規則では,貸借対照表の資本の部の表示方法として,出資と留保利益の区別を重視する立場をとる。資本の部は資本金,資本剰余金および利益剰余金の部に分けられ,資本剰余金の部は,配当規制上拘束を受ける資本準備金と,拘束を受けないその他資本剰余金からなる(資本準備金減少差益のほか,資本金減少差益や,自己株式処分差益などが含まれる)。利益剰余金も,配当規制上の拘束を受ける利益準備金と,配当可能な任意積立金ないし未処分利益からなる。

貸借対照表の資本の部
  資本金
  資本剰余金
    資本準備金
    その他資本剰余金
  利益剰余金
    利益準備金
    任意積立金
    未処分利益
下線の項目は,配当可能

■6.3 資産の評価
 すでに見たように,資産の評価に関する商法の規定が廃止され,法務省令に委ねられることとなり,具体的には商法施行規則第4章に規定されている。規定の内容には変更はない。

■7.3 企業取引の特色 ※電子商取引
 電子商取引の成立に関しては,平成13年に「電子消費者契約および電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」が成立している。同法は,第1に,消費者がWeb画面を通じて契約をするときには,相手方業者が消費者の最終意思を確認する場面を設けない限り,消費者が錯誤(民95条)を根拠に契約の無効を主張すること容易にする。第2に,同法では,民法526条(契約の効力は承諾の意思表示を発したときに生じる)の適用をWeb,電子メール,ファックスなどの電磁的方法で伝達される承諾の意思表示については排除し,一般原則(民97条1項)に従い意思表示の到達によって効力を生じるものとする。

■10.7 除権判決
 平成14年商法改正により,株券の喪失については株主名簿制度を活用した「株券喪失登録制度」が成立している(平成14年改正商230条以下)。この結果,株券の喪失については公示催告および除権判決制度の適用はない。

■12.2 金融制度改革:金融ビッグバン
 平成14年4月から定期預金については預金者1人当たり1000万円を限度として払戻が保証される。当座預金,普通預金,別段預金については,平成17年(2005年)3月未まで引き続き全額保護され,平成17年4月以降も,当座預金等の利息のつかない預金が全額保護されることになっている。

*持株会社
 平成14年独占禁止法改正により,持株会社の定義は独占禁止法9条5項1号に移行している。

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